夏時間と冬時間の切り替えにご注意

eikokugungakutai

大変古い話だが今日でも起こりうることなので、昔を思い出しながら書き記してみたい。

私が勤めていた会社が英国の会社とテレビを現地で製造するための合弁会社を設立することを決めていた。私はその合弁会社で働くために現地に赴任する準備と、それ以外の通常の業務に追われて多忙を極めていた。

その最中、赴任日の10日程前に突然合弁会社の社長になる予定の英国人から夜自宅に電話が入った。相手の用件は、イタリアにあるアメリカの会社のブラウン管工場を視察して欲しいというものだ。

悪いことは重なり易い

こちらは、何もなくても赴任までにやらねばならないことが山ほどあるのだから、とてもそんな話は受けられない。電話で押し問答をしたが相手は一歩も譲らない。相手はこれから何年間か合弁会社で毎日一緒に働くことになる人だ。

その工場には行ったことは無かったのだが、工場から空港まで人が迎えに来るし、ホテルも予約してくれるということなので、仕方なく現地1泊で行くことにした。ローマまでの切符を手配し、翌々日の飛行機に乗って一息ついたら、余りの慌ただしさと、持ち前の慌て者振りから、宿泊先のホテル名、訪問先の電話番号などの出張に必要な情報を持っていない自分に気がいた。

そうなると、本当に先方は飛行場に迎えに来てくれるのだろうか、はたまた、飛行場はローマでよかったのだろうか、と次々に色々なことが心配になってきた。ローマの空港に着いた。私の名前を掲げた人がいないか見まわしたがそれらしい人は見当たらない。

30分程時間がむなしく過ぎた。普通は、迎えに来てくれる人は飛行機の到着前に来てくれるものであることを考えると、何かの行き違いで来ないのではないかと思った。

しかし、

そうは思っても、もう少し待つべきかどうか思案したが、気が短い私は、待ち続けるよりも、ローマのバスターミナル行きのバスに乗ってバスターミナルでホテルを見つけることにした。
バスターミナルに着くと、そこは東京のラッシュ時の駅のような大変な人混みである。

これは何事かと驚いた。聞いてみると、4代前のローマ法王パウロ6世の葬儀の前夜で世界中から人がローマに押し掛けてきた結果であることがわかった。

バスターミナルにあるホテルの予約カウンターに行くと案の定、全てのホテルが満室であると告げられた。万事休すだ。途方に暮れていると、「旦那泊まる所があるよ」とお兄さんが寄ってきた。

一瞬どうするか迷った。何処かへ連れて行かれ、身ぐるみはがされるかもしれない。

しかし、泊まる場所が無ければこれも困る。意を決してお兄さんの運転する小さな車乗った。連れていかれたのは小さな粗末な安宿であった。翌朝、訪問先の会社名から電話番号を調べ、電話することが出来た。

何と先方は空港に迎えに来てくれていたことがわかった。

ただし、迎えに来た時間が飛行機の到着1時間後であったのだ。何故そのようになったか。私が飛行機に乗った日が夏時間から冬時間に切り替わった日で、到着時間が1時間早くなったのだ。

先方がそれを見落としていたのだ。

これは携帯電話もメールもない時代の話だが電話番号が無ければ同じ話しだ。

執筆者: 海外支援G 駒田 和民

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